GA4 User-IDについて コーポレートサイトには不要を解説
はじめに
GA4(Googleアナリティクス)でデータを見ていると、「User-ID」という言葉を見かけたことがある人も多いでしょう。
「設定した方がいいの?」「GA4のおすすめ設定に出てくるけど、よくわからない…」という方も多いはず。
結論から言うと、多くのコーポレートサイトではUser-IDを設定する必要はありません。
この記事では、User-IDの意味・活用できるサイト・不要なケースを、実例を交えながらわかりやすく解説します。
User-IDとは?
User-IDとは、同じユーザーを識別するための固有IDのことです。
GA4では、ログイン時などに割り当てられるUser-IDを使って、
スマートフォンやパソコンなど複数のデバイスをまたいだ行動を一人のユーザーとして分析できるようになります。
たとえば
- スマホで商品を閲覧
- 後日PCでログインして購入
といった行動も、User-IDを設定していれば1人のユーザーの行動として正確に統合できます。
つまり「デバイスを超えてユーザーの動きを追える」のが最大のメリットです。
User-IDが活躍するサイトとは?
User-IDの効果が最も大きいのは、ログインを前提としたサイトやアプリです。
代表的なのが以下のようなケースです。
ECサイトや会員制サービス
会員IDをUser-IDとして送信することで、
どのユーザーがどのデバイスで購入しているかを一貫して追跡できます。
「スマホで商品閲覧 → PCで購入」などの流れを明確に把握できるようになります。
サブスク型サービス
アカウントを持つユーザーの利用頻度や継続率を正確に把握しやすくなります。
会員の利用頻度・課金状況・解約率をユーザー単位で追えるため、“継続利用の傾向”を精密に分析可能です。
スマホゲーム・課金アプリ
実はここがUser-IDの本領発揮ポイント。
アプリではアカウント情報を持つため、User-IDを使えば次のような分析が可能になります。
- どのユーザーが課金しているか(優良ユーザーの特定)
- 初回課金までの行動パターン
- 課金後に離脱するユーザーの特徴
つまり、User-IDは「個人の行動の軌跡をつなげたい」サービスでこそ真価を発揮します。
コーポレートサイトではUser-IDは不要
一方、一般的なコーポレートサイトでは、User-IDは不要です。
理由はシンプルで、ログイン機能が存在しないからです。
- ログイン機能がないため、IDを割り当てる仕組みがない
- 個人単位での行動追跡が不要
- GA4の標準機能(Cookie識別)だけで十分分析できる
GA4にはもともとCookieやDevice IDによる匿名識別機能があります。
企業サイトの場合、「誰が」ではなく「どんな人が」「どのページを見ているか」を分析できれば十分です。
むしろUser-IDを設定するにはカスタムコードやデータ管理が必要になるため、
構造が複雑化してしまいます。
シンプルな企業サイトなら、User-IDを使わない方が安全かつ効率的です。
つまり、「誰が」ではなく「どんな人が」「どんなページを見ているか」が分かれば十分ということ。
企業サイトでは、User-IDよりも「コンバージョン計測」や「ページ導線の分析」の方がはるかに重要です。
Googleアカウントのログインとの違い
ここで誤解されがちなポイントを整理しておきましょう。
「User-IDって、Googleアカウントでログインしている人にも使われてるの?」
と思う方もいますが、これはまったくの別ものです。
GA4のUser-IDは「サイト側が任意に発行するID」
たとえば会員制サイトなら、ユーザー登録時に付与される「会員番号」や「ユーザー名」などを使います。
つまり、User-IDはあなたのサイト内で管理するものです。
GoogleアカウントはGoogleサービス内の識別
Googleは自社サービス(検索、YouTube、Gmailなど)でGoogleアカウントを使っていますが、
あなたのサイトのUser-IDとGoogleアカウントは自動的に紐づくことはありません。
Googleアナリティクスが受け取るUser-IDはあくまで匿名化された値であり、
Googleが「このID=〇〇さん」と特定できるわけではないのです。
エッグのようなコーポレートサイトの場合
このエッグデザインオフィスのように、
- 企業情報や実績紹介が中心
- 会員制機能がない
- 資料請求やお問い合わせフォームがメイン導線
といった構成のサイトでは、User-IDを設定する必要はありません。
GA4の標準機能(デバイス識別)で十分にユーザー行動を分析できます。
むしろUser-ID設定に時間をかけるより、
「コンバージョンイベントの整備」や「問い合わせ導線の改善」に力を注いだ方が効果的です。
まとめ:User-IDは「誰が何をしたか」を知りたいサイトだけで使う
User-IDは、ユーザーを横断的に追跡できる強力な仕組みですが、
実際に活かせるのは「ログイン機能を持つサイト」だけです。
- 会員制サイト、ECサイト、課金アプリ → 活用すべき
- コーポレートサイト、閲覧型サイト → 不要
User-IDは魔法の機能ではなく、
「個人を追跡したいときだけ意味を持つ仕組み」です。
一般的な企業サイトでは、User-IDよりもGA4の基本設定や
ページ遷移・コンバージョン経路の分析に注力するほうが効果的です。
そしてもうひとつ大事なこと
User-IDの設定は思っている以上に実装が複雑です。
- ログイン時のID取得
- GTM(Googleタグマネージャー)での値の受け渡し
- 未ログイン時の除外設定
- クロスドメイン対応
といったステップを踏む必要があり、開発・検証・運用の知識が必要になります。
目的がはっきりしていない状態で導入すると、
データが正しく計測されなかったり、運用負荷が増える原因にも。
だからこそ、User-IDは「使う理由が明確なときだけ導入する」のが正解です。
あとがき:User-IDから自由になれた話
正直、わたし自身も以前は「User-IDって、いつか設定しないとダメなんだろうな」と思っていました。
解析関連のことを調べていると、どこを見てもUser-IDという言葉が出てきて、
「これを理解してないと一人前じゃない気がする」と感じた時期もあります。
でも最近ようやく、その本質がわかってきたんです。
User-IDは「誰が何をしたか」を追いたいときにだけ必要な仕組みで、
すべてのサイトに必要なものじゃない。
つまり、コーポレートサイトのように「どう見られているか」を分析できれば十分なサイトでは、
User-IDを使わないという選択こそが最適なんです。
というより、そもそも使いようがない。
だからこそ、今は「User-IDをどう使うか」よりも、
「何を計測してどう活かすか」に意識を向けるほうがずっと大事だと思っています。
「あ、User-IDは理解したうえで“使わなくていい”んだ」
そう思えた瞬間、頭の中がスッキリしました。
今では「User-IDをどう使うか」ではなく、
「今のサイトに必要なデータは何か」を考えるほうがずっと大事だと思っています。
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2008年1月に起業し、2025年で17年目を迎えました。これまで一貫して「成果につながるWEBサイト」をテーマに、中小企業を中心とした幅広い業種のサイト制作・運用に携わってきました。
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